手術室とICU
手術当日
前日夜に飲んだ下剤の効果が続いていて、何度もトイレに通う。
手術室行ってもこのままだったらどうしよう?なんて下らない心配をしてみた。
手術は9時から。
8時30分に手術着に着替え、45分に担当看護師さんと夫と三人で歩いて手術室へ向かった。
テレビみたいにベッドで運ばれ「頑張ってね!」って家族が走って寄り添って、っていうんじゃないんだね~
帝王切開の時はベットで移動だったね~なんて話しながら、
エレベーターに乗って手術室のある階へ。
エレベーターを降りるとすぐに手術室。
手術室の担当看護師さんが迎えてくれた。
「じゃあ、行きましょう」と促され、扉が開けられる。
夫が不安そうな顔で「頑張ってね」と言った。
私は「頑張るのは先生たちだけどね」と笑いながら言って入室した。
手術室の前室?のような部屋に入ると、パイプ椅子に座らされる。
眼鏡を看護師さんに渡し、本人確認(名前と生年月日)と昨日聞かれたアレルギーの有無等々の質問をされる。
手術を担当してくれる小児心外チームの先生方、麻酔科の先生方も周りを取り囲んでいたけど、
眼鏡を外してしまっているので、個人の顔の特定ができない。
執刀医(主治医)ももう登場していたと思う。
麻酔がかかるまで
質問が終わり、前室(正式名なんていうんだろ?)から歩いて手術室へ。
古い病棟だからか、若干くねくねした導線。
看護師さんが手を引いてくれたが、
眼鏡がないので視界がはっきりせず、躓きそうになりながら移動。
手術室は思ったより広い。
目の前少し進んだところに緑色の手術台。
その足元方向にたくさんの機材が置かれているのが見えた。
先生方や看護師さんなど、たくさんの人がそれぞれ準備をしている。
手術台に進み、台を使って自分で上る。
上る、という表現が適しているように、手術台は高かったし、細かった。
「上れるか?そして落ちないか?」
と若干不安になるくらい。
手術台は思いのほかふっかふかで温かかった。
パッと見すごく無機質な手術台がこんなにふかふかだとは!
なんだかすごくほっとした。
触感、温感って気持ちへの影響大きいんだな、と思った。
「麻酔科の〇〇です。」と麻酔科の先生が枕元で話しかけくれた。
「緊張してる?でも大丈夫。寝て起きたら終わってるから。
これからマスクかけるから、ゆっくり息をしてね。」
と言われてマスクがかけられる。
先生が「1、2、3、、、」と数を数える。
『すぐ効くんじゃないんだな』なんて思ってマスクと先生の手を見ていたら、
ものの数秒で視界がぐにゃ~っとしてきて、
その後すぐに深い眠りについた。
ICUで覚醒
「起きてください~終わりましたよ~!」
主治医に力強く肩を叩かれ、ちょっと大き目な声が飛び込んできた。
目を開けると主治医が、
「手術はばっちりうまくいったよ。大丈夫。人工弁も使わずにできたからね。」と続けた。
『はい』
と答えながら、
あ、生きてるんだ、良かった、とか
人工呼吸器つけたままだと苦しいって聞いてたけど、外れた後起きて良かった、
思ったより切ったところ痛くないんだな、とか
思いのほか冷静にいろんなことを考えていいた。
何時ですか?と聞くと、夜の12時と言われた(と思う)。
覚醒直後でハイテンションになっているのか、
傷の痛みは感じなかったし、息もできないほどの苦しさ、しんどさはない。
しかし、身体は重いし背中や肩がバッキバキに感じる。
とてつもない疲労感を感じ、頭はボーっとしている。
しばらくすると、枕元にICUの看護師さんが来た。
喉が激しく乾いていることを伝えると、
麻酔が覚めてすぐなのでまだ水を飲むことはできないので、と、
小さなスポンジに水を含んだもので口を潤してくれた。
とてもとても気持ち良かったが、おますます喉が渇いた。
「後2時間待ってね」と言われ、しばらく眠った。
目を覚まして「しばらく寝たからもうそろそろ時間かな」と思い、看護師さんを呼ぶと、
「残念!まだ5分しかたってないよ(笑)」とまたスポンジをくれた。
5分!!!
この調子で2時待つのか、と絶望した。
早く時間よ経て、と思い過ぎて眠れない。
喉が渇く。早く水を飲みたい。
水が欲しくて欲しくて「すみません、誰か、、、」と言っていた気がするが、声になっていなかったと思う。
ぼーっと、うとうととしていると、また看護師さんが来て、
「これでむせなかったら、水飲めますよ」
と小さな紙コップを持ってきてくれた。
時間の感覚が全く分からないが、どうにか2時間たったようだ。
ベットの頭があげられ、水を受け取り、一口飲む。
飲めたのを確認して、残りの水を飲むのを許可された。
冷たい水がこんなに美味しいとは!!!!
本当に、今までで一番おいしい飲み物だった。
すぐに次の水を欲すると、
「水分制限があるから、あまり飲めないからね。ゆっくり飲むには、氷の方がいいかも」
と氷を口に入れてくれた。
これまた、とてつもなく美味しく感じた。
氷の美味しさに感動した。
深夜だから室内は暗く、でもあまり眠気はこない。
暗い中、はっきりしない頭でぼーっとしているのが嫌で、
早く朝になれ、早く朝になれ、とばかり思っていた。