どこで治療するか
まず頭をよぎったのは当時もうすぐ2歳になる息子のこと。
日中私が一人で見ていたので、私が入院などとなったら誰が見るのか。
引越し前は実家まで車で1時間弱だったので、すぐに母に協力を求められた。
しかし、ここは新幹線で半日かかる距離。気軽に助けを求められる距離ではない。
引越したばかりで知人も友達もいない。
息子をどうするかの不安の中で、たまに顔を出す心臓への不安。
ちょうどGWの帰省時期だったので、今までお世話になっていた主治医に相談することにした。
かすかに「数値はよくないけど大丈夫ですよ」なんて言ってくるんじゃないか、と希望を持って。
当時私の主治医は小児循環器科の優しいドクター。
転院先で言われた事を伝えると、
「私も心カテの事など示唆したことあったけど、お子さん生れたばかりだし、まめにエコーで様子を見て時期を考えてた。もっとはっきり伝えとけば良かったね。ごめんね。」
と。
確かに、妊娠後から定期健診の間隔がいやに短くなっていた。しかし、妊娠出産の影響を考えてそうしてくれているんだと思っていた。
子育てと身体どちらも考えて対応してくれてたドクターの優しさに、張り詰めてた気持ちが溢れて涙が止まらなくなった。
「検査は『手術は必要か』ではなく『どう手術するか』という検査になるだろう。そこから手術までの流れは早いから、覚悟しておいた方がいい。」
優しくもキッパリ告げられた。
なぜ今なんだろう。
引越したばかり。息子は2歳。
身動き取れない。頼る人もいない。
引越し前なら、親や友人が近くにいる。頼ることも泣きつくことも出来る。
なのに、なぜ、引越した矢先こんな事に。
考えてもしょうがないのに、
なぜ今?ばかり考えていた。
でも、立ち止まっても居られない。
地元か転居先、どちらで治療するのが息子と私(そしてもちろん夫も)にとって一番良いのか。
悩んで悩んで、悩み抜いて、転居先で治療を受けることにした。
理由はやはり息子の事。
地元で治療し息子と実家に帰ると、私の入院中は両親とまるきり離れてしまう。
2歳の息子に寂しい思いをさせたくない。
それに、手術をしたとして、その後どの位で子育てに復帰出来るか分からない。
今後保育園を使う事を考えると、住所のある場所で治療した方が良いだろう。
誰も知り合いのいない土地で、治療して行くことに決めた。